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第18回音声学セミナー「Praatによる音響分析入門」@國學院大學

去る3月13日(土)、國學院大學にて日本音声学会の音声学セミナーが開催されました。このセミナーは毎年3月に行われているものです(昨年10月に私が担当した回はイレギュラーでした)。「ある分野の人にとっては当然のことが、他の分野にとっては未知」ということが多い音声学の世界。それだけ、幅が広い学問とも言えます。音声学と聞いて、語学教師を思い浮かべる人もいれば、言語療法士を思い浮かべる人もいますし、自動音声認識に関心がある人も入れば、こどもの言語獲得に興味がある人もいます。

今回のテーマは「Praatによる音響分析入門」。言語音声を物理的に分析することは、現在では音声学のどの分野を研究するにしても、必要な方法論となっています。が、私を含め、文科系(言語系)の研究者の中には、音響分析のやり方がわかっていない人も少なくありません。そして、多くの人が、私と同じように音響分析について知っておく必要性を感じています。そんなわけで、今回のセミナーも100人ほどの参加があり、大盛況でした。

                    ☆

講師は法大の田嶋圭一先生と早大の北原真冬先生のお2人で、最初に大教室でデモ形式で講義を受けました。その後、コンピューター教室2つに分かれて実習という形で、実際にPraatを操作しながら学ぶことができました。(Praatというのは、よく用いられる音響分析ソフトの一つです。)

音響分析は学生時代、コンピューターによる以前の方法でフォルマントの読み取り方などを学びましたが、その後、パソコンで手軽に分析できるようになってから、自分で学ぶことを怠っていたので、今回のセミナーはありがたく、また、ちょうどいいものでした。普段から、他の人が音響分析を使った研究発表をしているのは頻繁に見ているので、まるっきりちんぷんかんぷんということもありませんでした。

私は、調音音声学の知識に関してはそれなりに自信を持っていますが、音響音声学に関してははなはだ心もとありません(聴覚[知覚]音声学になると、もっと知らない)。学生時代に学んだ20年前の知識のままで止まっている上に、ごくごく入門的なことしか知りません。当時は、音響分析には大がかりな機械が必要で、そのためには多額の費用がかかるため、「そういうことは理科系の人に任せて、文科系の人間は深入りしなくてよい(というか、物理的にできない)」といった状況でした。そんなわけで音響音声学は「音声学をやる人間として知っておくとよい教養」程度のイメージでした。

現在では、文科系、理科系を問わず、パソコンで手軽に音響分析ができるようになりました。音響分析をするには、ソフトの使い方だけでなく、音響音声学、そしてその基盤となる音響学の基礎もちゃんと勉強した方がいいと思うので、今年はそちら方面にも触手を伸ばしてみたいと思います。




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音声学セミナー、無事終了しました

今日は、日本音声学会の第17回音声学セミナーの講師を務めさせていただきました。テーマは「IPA(国際音声記号)入門」。諸言語の音声を表記するための記号体系である国際音声記号について、レクチャーいたしました。

091010_01音声学セミナー看板1

受講者は80名にのぼり、なかなかの盛況でした。ただ、私はふだんは英語の授業など、演習形式の多くて40名程度の授業しかしていないので、その2倍という人数に、自分でも予想外に緊張いたしました。かなりテンパって(いっぱいいっぱいになって)いたのですが、知人の話ではそうは見えなかったとのことでしたので、少し安心しました。

レクチャーではあるのですが、音声記号の理解のためには実際に自分の体(音声器官)を使って発音してみることが重要ですので、今日は、コーラスリーディング形式(リピート・アフタ・ミー)で、発音の練習もたくさん取り入れました。その方が、教える方も楽しいですし。これは結構好評をいただけたようで、このような形にして良かったと思いました。

日本音声学会のセミナーにいらっしゃるほどの方々ですから、言語音声には並々ならぬ関心を抱いていらっしゃるわけでして、おかげで、ふだん大学でやるよりも、すんなりと進んでいきました。そのため、途中休憩を2回はさんで4時間の予定でしたが、40分も残して私からのレクチャーは終わりました。そのあと質疑応答だったのですが、多くの方からご質問をいただき、結局予定時間いっぱいまで質問を受けることになりました。私の手に余る質問はフロアにいらっしゃる音声学会会員の方にお答いただくなどして、充実した時間を過ごすことができました。私自身にとっても、とてもためになるご質問が多く、勉強になりました。

質問をされる皆様が、たいへん丁寧に「本日はありがとうございました」とおっしゃるので、その都度、感謝の意をこめて深いお辞儀をさせていただきました。が、人間、いくら深くお辞儀しているつもりでも、せいぜい75度程度なのだということに気が付きました。ほぼ90度のお辞儀、ってどんだけ? と思いました。(←すいません、この段落、実はPerfumeネタです(汗)。)

というわけで、私自身、テンパりながらも、楽しくレクチャーでき、充実した一日でした。

                    ☆

さて、明日11日は、Perfumeのライブに参加するため、大阪まで日帰りで行きます。

明日は思いっきりはじけるぞーーー!!




【宣伝】音声学セミナーの講師をやります!

日本音声学会の第17回音声学セミナーの講師を私が勤めることになりました。

今週の土曜日(10日)の午後、場所は東大(本郷)。テーマは「IPA入門」です。IPA(国際音声記号)について知りたいが、なかなか機会がないという人を対象としたセミナーです。日本音声学会の会員でない方も参加できます。

申込方法など、詳しくは日本音声学会のホームページをご覧ください。当日、会場でも受け付けるそうです。

まだかなり人数に余裕があるようなので、ふるってご参加ください。また、周りの方にお勧めいただけると幸いです。



関連キーワード:音声学、IPA、国際音声記号、音声記号、発音記号、英語、英語音声学、英語教育、発音教育、音声教育・・・・・これだけ書いておけば検索にひっかかるでしょうかね。




「遊声」第12回演奏会

先日、文京シビックホールで行われた、合唱団「遊声」(ゆうせい)の第12回演奏会に行って来ました。「遊声」というのは、合唱指揮者の鈴木成夫先生が指導する大学合唱団の連合体です。東京大学コーロ・ソーノ合唱団、日本大学合唱団、東京家政大学フラウエンコール、東京外国語大学混声合唱団コール・ソレイユの4団(順不同)から成り、1年に1回、この時期に演奏会を開いています。

私はコール・ソレイユのOBですが、私のころはまだ「遊声」はありませんでした。そのせいもあり、また、土日が貴重な6月ということもあり、これまでは行った回数よりも行かなかった回数のほうが多かったのですが、今回は、英語の発音指導の講師として招いていただいた縁もあり、万難を排して伺いました。
090627_01遊声入口

この演奏会は、毎年テーマを決め、各団の単独演奏も、合同演奏も、そのテーマに沿って選曲がなされます。今年のテーマは「カナダ・アメリカの合唱音楽」。
090627_02遊声看板

昨年は「イギリスの合唱音楽」がテーマで、そのときは、イギリス英語の発音指導を依頼されたのですが、春合宿に1回行けたきりで、演奏会当日も所用で行けませんでした。今年は、3月末の春合宿のあと、音取りも終わり、ある程度形になった5月にもう1回行って、発音をチェックすることができました。

合唱における外国曲では、ラテン語、イタリア語、ドイツ語あたりがメジャーですが、英語の合唱曲ももちろんたくさんあります。ただ、日本人が英語の合唱曲を演奏するときにぶつかるのが、発音の問題。

英語は、他の言語と比べて母音の数が多い、というのが目に見える難関ですが、それ以上に厄介なのが、母音の弱化をどう扱うかという問題。一般的な発話ではあいまい母音になるところでも、音楽的に強拍に当ってしかも長い音符だと、強母音で発音した方がいい、ということにもなります。「辞書で発音記号を調べてきました」だけでは、ちゃんと歌えないのです。(いちおう)英語発音の専門家で、(いちおう)合唱のことが少しはわかっている私でも、「ここは強母音で歌うべきか、弱母音で歌うべきか」と迷い、現地の合唱団の演奏を何度も聞いて判断するということがあります。

今回、各団の単独曲は、コール・ソレイユの若きOBであり、高校の英語教師であるS君が、合同曲は私が、発音指導を担当しました。また、合同曲の中に1曲、スペイン語の曲があったので、それは私のコール・ソレイユ時代の先輩で、スペイン語音声学が専門のK氏に依頼しました。ラテン語の曲は、自分たちでやれと突き放し(笑)。

                     ☆

そんなわけで、私としては、演奏そのものもさることながら、英語の発音がどうかということに注意を傾け、歌詞カードをじっくり見ながら、演奏を聴いていました。

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英語の母音を教える#1 ~短母音と長母音1~

英語音声学の授業も、英語の個々の母音の学習が始まりました。

英語は、母音体系が複雑で、区別すべき母音の数も多いので、子音より先に母音を教えています。その代わり、この段階では、特に練習が必要な子音(fとかvとかth音とか)を含まない例語だけを使って練習することにしています。

母音を、どういう順番で教えるかも重要です。短母音→長母音→二重母音と進んだり、「イ」に近い母音、「ア」に近い母音・・・のようにグループ化したり、いろいろなやり方が考えられますが、私の授業ではまず、/iː/, /ɪ/, /ɛ/, /æ/の4つの母音を学ぶところから始めます。

この4つは、いずれも前舌母音で、違いは舌の高さです。上に記した順に舌が下がってくることを意識させるのが、これらをまとめて扱う理由です。これによって、/iː/と/ɪ/の位置関係だとか、/ɛ/と/æ/が少なくともアメリカ英語では非常に近接していることなどを、音声学的に簡単に示すことができます。



授業では、まず母音図を板書し(実際にはパワーポイントのスライドショーを用いますが)、第1次基本母音を復習。授業の冒頭で、小テストとして基本母音のおさらいと聞き取りテストをしているので、ここは短時間で済ませます。日本語の5母音を母音図にプロットし、準備完了。

beat, bit, bet, batの4語を縦に並べて板書し、私が何度か単語を、そして母音を単独で発音。「この順番には意味がある」と言って問いかけると、「前舌母音で(母音図の)上から」とか「だんだん口が大きくなる」と言った答えが返ってくるので、「そのとおり!」と(ちょっと大袈裟に)ほめます。

次いで、/iː/, /ɪ/を母音図上にプロットし、後者が“中途半端な”場所にある母音だということを認識させます。(もちろん、英語母語話者は、中途半端だとは思っていない、ということも。)

まず、/iː/の練習。唇を左右に引くことに注意させる以外は、特に問題なく済みます。("Say cheese."の理由といった話もしてみたり。)一応、机間指導で1人ずつ発音させて問題ないことをチェック。

次に、/ɪ/。口の開きは、指先を上下の歯ではさむとちょうどいい、といった説明をします。(今年は、時節柄、「実際には指先を歯ではさまなくていいですからね。」という注釈つきで。)この時点で、しつこいほど私が発音した/ɪ/を学生は聞いているので、それほど困難なくできるようになります。机間指導で、/iː/, /ɪ/の順番に発音させ、両者がほとんど同じ場合には、「/ɪ/は指先くらい口をあけて」と私がやって見せ、逆に、/ɪ/が広すぎる場合は、「エに近すぎる」と言って、手本を示し、舌の高さを微調整させます。



そのあと、CALLシステムを使って、単語の発音練習。30秒ほどの長さのものを、2分ほど、各自練習させます。そのあとすぐ、CALLのモデル機能(指定した学生の声が、すべての学生のヘッドホンに流れる)を使った個別指導。例えば beat - bit と発音させて、問題なければOK、うまくいかなければ、できるまで指導。

音声学の授業で、私が一番集中力を必要とされるのは、机間指導とこのCALLによる個別指導です。この場面で一人30秒を超えると、やらされている本人もつらくなってくるし、聞いている他の学生も飽きてきます。30秒間で最低限の発音ができるようにするためのあの手この手は、16年間で身につけたものです(学生の“症状”によって対処の仕方が千差万別なので、まだまだ不十分ではありますが)。不安が残る学生には、例えば「/ɪ/がエに近くなりがちなので注意。」といったアドバイスを与えます。



次に扱うのは、/ɛ/, /æ/。この2母音をまとめて扱うというのがミソです。米音では非常に接近しているから、ということもありますが、それ以上に、/æ/を、日本語の「ア」の“呪縛”から解き放つのが目的です。2つの母音を母音図上にプロット。/ɛ/を発音したあと、舌を前に出したままちょっと下げると /æ/になる、と言う風に説明します。「舌先を下の前歯の裏側に押しつけたまま」という点を強調し、両手を舌と歯に見立てて、良い例と悪い例を示します。

それもこれも、前回、母音の分類基準で前舌母音と後舌母音を学び、基本母音の練習をしたからこそ効果の上がる説明にほかなりません。音声学という名の下で発音指導を行う以上、音声学を知っているとできるようになる、という持っていき方をしたいものです。

と同時に、直観的というか、イメージ的というか、そういった説明をすることもあります。/ɛ/, /æ/に関して言えば、前者は口が逆三角形の感じ(と言って、アイドルが笑顔を振りまくときのような口の形をして見せたら、爆笑されました)。後者は、左右の口角を下向きに広げて口を四角形にするイメージで、なんてことをジェスチャー付きで言います。(言葉だけだと実に分かりにくいですね。それに、誤解も招きそうです。)これは、/æ/の発音のときに、舌が奥に引っ込まないようにするのに有効だという気がして、やっています(すいません、実証データはないです)。「口が四角形となると、NHKのどーもくんになってしまいますが」なんてことをさらっと言ってみたり(それでイメージがわく学生もいるかもしれないので)。

もっとも、この手の説明は薬にもなれば毒にもなるものです。変に誤解されると、とんでもない発音になって、かえって直すのが大変になることがあります。学生の反応を見ながら、慎重に使う必要があります。



机間指導では、/ɛ/, /æ/の順に発音させ、学生の口の中をしっかり見ます。/æ/のときに、舌が奥に引っ込んで、日本語の「ア」になってしまう学生が必ずいます。そういう学生には、「舌がひゅい!と奥に引っ込んでるのが見えるよ」と言って、舌を下の前歯の裏側につけるように指導します。

学生の口の中を見るというのは、結構気を使います。不快感を与えず、かつきちんと見るという作業には、微妙な距離の取り方と、コミュニケーション力が試されるような、そんな気がいつもしています。(昔、著名な音声学者が、学生の口にボールペンを突っ込んで発音を矯正したなんていう逸話も残っていますが、さすがに今の時代、そんなことをしたら、大変な騒ぎになるでしょうね。)

そのあとは、やはりCALLを使って単語の発音練習、そして個別指導。今年度は、あえていろいろな音声学教材、発音教材から音声を持ってきて使うことにしました(アメリカ英語という点では一致していますが)。例えば、/ɛ/と/æ/がほとんど同じになっている母語話者の発音にも触れて、新たな発見をする驚きを感じてほしいという気持ちがあったからです。



この日の時点で、/æ/が一応できるようにしておくと、次回学習する、/æ/, /ʌ/, /ɑ/の区別の指導が、格段にやりやすくなります。

授業の最後に、発音記号、特に、/iː/と/ɪ/について補足説明します。

本当は、この日に/uː/, /ʊ/もやっておきたいのですが(でないと次回の学習内容が多くなるので)、今年はちょっと無理でした。




上野まな - Feeling
上野まな - My Silly Girls
プロフィール

こばあつ

Author:こばあつ
札幌市出身、埼玉県南部在住。美術大学で英語を教えています。
◆専門◆音声学(主に英語の音声教育、発音表記など)。広くことばやことばの音に関する楽しい話が好きです。
◆趣味◆
【旅行】鉄道旅行と食べ歩き。
【うたを聞くこと】<好きな歌手>上野まな、Perfume、辛島美登里、一青窈、いきものがかり、福原美穂、RYTHEM、太田裕美、溝渕文。<気になる歌手>花菜、山崎葵。ちなみに合唱経験者です。初期の木下牧子作品は思い出深く好きです。
【その他】<好きな女優>上野樹里、宮崎あおい、臼田あさ美、市川実日子、笹峯愛、深津絵里、石原さとみ、松本まりか、ほか

★アメブロで「こばあつの雑記帳(別館)」やってます。
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